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歯根破折の症状と見分け方|見逃しやすいサインを歯科医師が解説

2026年7月28日

「噛むたびに奥歯がズキッと痛む」「歯茎が繰り返し腫れるけれど、虫歯はないと言われた」——そんな経験はありませんか。これらは歯根破折(しこんはせつ)のサインである可能性があります。

歯根破折とは、歯の根の部分にひびや割れが生じた状態のことです。レントゲンにも映りにくく、症状が虫歯や歯周病と似ているため、気づかないまま悪化してしまうケースも少なくありません。

この記事では、歯根破折の代表的な症状・見分け方のポイント・原因・そして適切な対処法について、できるだけわかりやすくお伝えします。「もしかして自分もそうかも?」と感じている方にとって、受診前の判断材料になれば幸いです。

  • ✔歯根破折の特徴的な症状と、虫歯・歯周病との見分け方
  • ✔歯根破折が起こりやすい原因とリスクが高い歯の特徴
  • ✔歯根破折が疑われるときにとるべき行動と治療の選択肢
📋 この記事の目次

歯根破折ってどんな状態?よくある症状

歯根破折とは何か

歯根破折とは、歯冠(見えている部分)ではなく、歯茎の中に埋まっている歯根の部分に亀裂や割れが生じた状態を指します。英語では「Vertical Root Fracture(VRF)」とも呼ばれ、歯科の分野では難しい問題のひとつとされています。

歯根は歯茎の奥深くにあるため、口の中を直接見ても確認するのがむずかしく、通常のレントゲン撮影でも亀裂が映りにくいことがあります。そのため発見が遅れてしまい、気づいたときには周囲の骨が溶けていた、というケースも報告されています。

代表的な自覚症状

歯根破折の症状はさまざまですが、次のようなサインが現れることが多いです。

症状 特徴・補足
噛むと痛い・違和感がある 特定の方向から噛んだときだけ痛む場合がある
歯茎が腫れたり引いたりを繰り返す 同じ場所が何度も腫れる、膿が出るなど
歯茎にニキビ状のふくらみ(フィステル)ができる 根の先の炎症が歯茎に出てくることがある
以前に神経を取った歯が痛む 神経のない歯でも歯根破折は起こる
歯がぐらつく感じがある 周囲の骨が溶けてくると動揺が生じることも

これらの症状は個人差があり、まったく痛みがない状態で偶然発見されることもあります。「なんとなく気になる」という違和感があれば、それだけでも受診のサインといえます。

どの歯に起こりやすいか

神経を取った治療歴のある歯(失活歯)は、水分が失われて脆くなっているため、歯根破折が起こりやすいといわれています。特に上顎・下顎の大臼歯(奥の大きな歯)や、金属の土台(メタルコア)が入っている歯はリスクが高い傾向があります。また、歯ぎしり・食いしばりの強い方も注意が必要です。

虫歯・歯周病との見分け方——見逃しやすいサインとは

歯根破折と虫歯の違い

虫歯は歯の表面(エナメル質・象牙質)が細菌に侵食されていく病気で、初期は自覚症状がほとんどなく、進行すると「しみる・ズキズキ痛む」といった症状が出てきます。歯根破折とは発症の仕組みが異なりますが、症状が似ているため混同されやすい点が問題です。

見分けのポイントとして、虫歯の痛みは「冷たいもの・甘いものでしみる」ことが多いのに対し、歯根破折は「噛む動作で特定の角度から力がかかったときにだけ痛む」というパターンが多い傾向があります。ただし、これはあくまでも一般的な目安であり、症状には個人差があります。

歯根破折と歯周病の違い

歯周病は歯の周囲の組織(歯槽骨・歯肉)が細菌によって破壊される疾患で、歯茎の腫れ・出血・歯のぐらつきが主な症状です。歯根破折も歯茎の腫れや骨の吸収を引き起こすため、「歯周病が治らない」として長期間治療を続けていた歯が、実は歯根破折だったと判明するケースがあります。

ポイントは腫れの場所が特定の1本の歯の周囲に限定されているかどうかです。歯周病は通常、複数の歯にまたがって症状が広がりますが、歯根破折は特定の歯の周囲だけに繰り返し膿や腫れが出ることが多いです。

Point 01
「特定の1本」に繰り返し症状が出るときは要注意

同じ歯の周囲だけが何度も腫れる・膿が出る・フィステル(歯茎のニキビ状のふくらみ)ができる——このような場合は、歯根破折の可能性を念頭に精密検査を受けることが大切です。特に過去に根管治療(神経を取る治療)を行った歯で起きやすいとされています。

Point 02
「噛む方向によって痛みが変わる」は破折のサイン

虫歯や歯周病による痛みは噛む方向にかかわらず出ることが多いですが、歯根破折では特定の角度で噛んだときだけ鋭く痛む「方向性のある痛み」が現れることがあります。「この方向から噛むと痛い」という経験がある方は、一度歯科医師に相談することをお勧めします。

Point 03
通常のレントゲンでは映らないことがある

歯根の縦方向のひびは、通常の二次元レントゲン写真では映りにくいことが知られています。CTスキャンによる三次元的な画像診断が、歯根破折の検出に有効とされています。「レントゲンで異常なしと言われたのに症状が続く」という方は、CT撮影を含む精密検査を受けることをご検討ください。松本歯科クリニックでは院内にCTを完備しています。

歯根破折を自分で判断することの限界

症状から「もしかして歯根破折かも」と推測することはできますが、確定診断は歯科医師による検査が必要です。CTを使った精密な画像診断や、視診、歯周ポケット検査などを組み合わせることで、より正確な判断が可能になります。自己判断だけで放置すると、周囲の骨が溶けてしまい、のちに治療の選択肢が限られてしまうこともあります。早めの受診が大切です。

歯根破折が起こる原因とリスク要因

物理的な要因

歯根破折の主な原因は、歯根に過剰な力がかかることです。代表的なものとして以下が挙げられます。

Point 01
金属製の土台(メタルコア)の使用

神経を取った歯に金属製のポスト(土台)を入れている場合、金属の弾性と歯根の弾性の違いから歯根に大きなストレスがかかりやすいとされています。噛む力が繰り返し加わることで、内側から歯根が割れていくことがあります。現在は、歯根と弾性が近いファイバーコア(グラスファイバー素材)への移行が推奨されるケースも多くなっています。

Point 02
歯ぎしり・食いしばり(ブラキシズム)

睡眠中の歯ぎしりや日中の食いしばりは、通常の咬合力の何倍もの力を歯に加えることがあります。神経のある歯であっても、長期間にわたる過剰な咬合力は歯根にひびを生じさせるリスクになります。自覚がないまま歯ぎしりをしている方も多く、起床時のあごの疲れや頭痛がサインになることがあります。

Point 03
根管治療による歯質の脆化

根管治療(神経を取る治療)後の歯は、内部の水分・有機成分が失われ、象牙質が脆くなります。治療そのものが悪いわけではなく、その後の歯のケアやかぶせもの選択が重要です。治療後に適切なクラウン(かぶせもの)でしっかり保護することで、破折のリスクを下げることができます。

年齢・生活習慣も関係する

加齢とともに歯質は徐々に脆くなっていく傾向があります。また、硬い食べ物を好んで食べる習慣・爪を噛む癖・片側だけで噛む習慣なども、特定の歯に負担をかける要因になります。これらのリスク要因を把握しておくことで、歯根破折の予防に役立てることができます。

歯根破折が疑われるときの対処法と治療の選択肢

 

まず歯科医院を受診する

歯根破折が疑われる症状があるときに、自己判断で市販の痛み止めだけを飲み続けることはお勧めできません。痛みが一時的に和らいでも、根本的な問題は解決しておらず、周囲の顎骨への影響が広がる可能性があります。症状が出たら早めに歯科医院を受診することが、治療の選択肢を広げることにつながります。

治療の選択肢

歯根破折の治療は、破折の位置・程度・範囲によって大きく異なります。主な選択肢は以下のとおりです。

▶ 破折歯接着再植(保存治療)

  • ○可能な場合は抜かずに、破折した部分を直接接着して修復する
  • ○条件が難しい場合は、一度抜歯して口腔外で接着し再び戻す方法もある
  • ○適応できれば抜歯を回避し、自分の歯を温存できる可能性がある
  • ○歯根破折の位置や骨の状態によって適応が判断される

▶ 抜歯後の補綴(欠損補修)

  • △破折が広範囲にわたる場合は抜歯が選択されることがある
  • △抜歯後はインプラント・ブリッジ・入れ歯などで補う
  • △隣接歯への影響を最小限にするためにも早期判断が重要
  • △骨の状態によってはインプラント治療に骨造成が必要になることも

どの治療が適しているかは、歯根破折の状態・歯の周囲の骨の残存量・患者さんの全身状態などによって異なります。また、歯根破折は見た目では判断がむずかしいため、CT撮影を含む精密な検査を受けることが重要です(治療の適応・予後には個人差があります)。

注意:歯根破折は放置すると周囲の顎骨が吸収され、治療の選択肢がさらに限られてしまうことがあります。「様子を見ればよくなるかも」と思って長期間放置することは、のちの治療をより複雑にするリスクがあります。気になる症状があれば、早めに歯科医師にご相談ください。

再発・予防のために知っておきたいこと

歯根破折の予防として重要なのは、神経を取った歯をしっかりクラウン(かぶせもの)で保護することです。また、歯ぎしり・食いしばりがある方はマウスガードを使用することで、歯への過剰な力を緩和する効果が期待できます。定期的なメンテナンスで歯の状態を確認することも早期発見につながります。

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松本歯科クリニックの破折歯への取り組み

旭川市大町の松本歯科クリニックでは、「なるべく削らない・なるべく抜かない治療」を方針として、破折歯の保存に真剣に取り組んでいます。患者さんが「抜くしかない」と言われてあきらめていた歯について、精密検査の結果、別の選択肢をご提案できたケースもあります。

  • ★院内CT完備——通常のレントゲンでは発見しにくい歯根のひびも、CTによる三次元画像で詳細に確認できます。精密な診断が適切な治療方針の決定につながります。
  • ★破折歯接着再植への対応——条件が整う場合は、抜歯を避けるための接着治療に対応しています。まずはご相談ください。
  • ★日本口腔インプラント学会 専門医が在籍——抜歯が避けられない場合のインプラント治療についても、大学院でインプラントを専門に研究した院長が対応します。骨造成にも対応しており、骨の量が不十分な場合も含めてご相談いただけます。
  • ★自由診療最長10年保証・ガイデント社認定10年保証——治療後も安心して過ごしていただけるよう、充実した保証制度を整えています(保証には条件があります)。
  • ★口腔内カメラ・デジタルレントゲンで「見える説明」——患者さんご自身が口の中の状態を確認しながら治療方針を理解できるよう、丁寧な説明を心がけています。
⚕ 院長 松本 弘幸 より

「歯が割れているかもしれない」と感じたとき、誰でも不安になりますよね。大切なのは、その不安を放置せず、早めに専門家に診てもらうことです。当院ではCTを活用した精密な診断を行い、できる限り歯を残す方向で治療方針をご提案しています。患者さんが納得されたうえで治療を進めることを大切にしていますので、「抜くしかないと言われた」「他院で断られた」という方も、まずはお気軽にご相談ください。

松本歯科クリニック 院長 松本 弘幸(まつもと ひろゆき)

よくあるご質問

Q. 神経のない歯でも歯根破折は起こりますか?
A. はい、起こります。むしろ神経を取った歯(失活歯)は歯質が脆くなっているため、歯根破折のリスクが高いといわれています。神経のある歯と違い、「痛みで気づく」という機会が少なく、発見が遅れやすい点にも注意が必要です。「以前に神経を取った歯の周りが腫れる」「繰り返し膿が出る」などの症状がある場合は、早めに受診して精密検査を受けることをお勧めします。
Q. 歯根破折はレントゲンで必ず見つかりますか?
A. 通常の二次元レントゲン(デンタルX線)では、歯根の縦方向のひびが映りにくいことがあります。CT(歯科用コーンビームCT)を使った三次元画像診断のほうが、より精密に確認できるとされています。「レントゲンでは異常なしと言われたのに症状が続く」という場合は、CTを含む精密検査を受けることをご検討ください。
Q. 歯根破折になったら必ず抜歯になりますか?
A. 破折の状態によっては、抜歯を避けられる場合があります。破折の位置・範囲・周囲の骨の状態などを総合的に判断したうえで、破折歯接着再植など保存的な治療が選択できるケースもあります。ただし、すべての歯根破折に適応できるわけではなく、精密な検査と歯科医師の判断が必要です。「抜くしかない」と言われた場合でも、一度ご相談いただくことも一つの選択肢です(治療の適応・予後には個人差があります)。

📝 この記事のまとめ

  • ✔歯根破折は「噛むと痛い」「同じ歯茎が繰り返し腫れる」「フィステルができる」などの症状が特徴的
  • ✔虫歯・歯周病と症状が似ているため見落とされやすく、通常のレントゲンでも映りにくい場合がある
  • ✔神経を取った歯・金属土台が入っている歯・歯ぎしりが強い方は特にリスクが高い傾向がある
  • ✔CT撮影を含む精密検査が早期発見・適切な治療方針の決定につながる
  • ✔症状が出たら早めに受診することが、治療の選択肢を広げることにつながる

歯根破折が心配な方は、まずはご相談ください

旭川市大町の松本歯科クリニックでは、院内CTを活用した精密診断で歯根破折の早期発見に努めています。「噛むと痛い」「歯茎が何度も腫れる」など気になる症状がある方は、お気軽にご相談ください。なるべく歯を残す方向で、一緒に最善の方法を考えます。

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メールでのお問い合わせ

【診療時間】月〜金 9:00〜12:30 / 14:00〜18:00 土 9:00〜13:00(午後休診) 休診日:日曜・祝日・土曜午後
〒070-0842 北海道旭川市大町2条10丁目173-55 TEL 0120-437814
駐車場 屋内4台・屋外2台/春光イオンそば/JR旭川駅よりタクシーで約15分

監修医師プロフィール

著者写真

松本 弘幸(院長)

平成4年3月
北海道医療大学歯学部卒業
平成8年3月
北海道医療大学歯学研究科博士課程修了
平成8年6月
北海道医療大学歯学部助手
平成11年6月
松本歯科クリニック 開院

資格・所属学会:日本口腔インプラント学会(JSOI)専門医、近未来オステオインプラント学会(IPOI)専門医、日本歯科医師会(JDA)会員、北日本インプラント研究会(NIS)会員、旭川インプラント研究会(AIS)会員、日本訪問歯科協会認定医

※ 本記事は医療広告ガイドラインに基づき、監修のもと作成しています。治療の効果・費用・期間には個人差があります。詳細は必ず医師にご確認ください。

歯根破折で抜歯を避ける方法|破折歯接着再植による歯を残す治療とは

2026年5月18日


「抜歯するしかない」と言われた瞬間、頭が真っ白になった経験はありませんか?

歯根破折と診断されると、多くの歯科医院では抜歯を勧められます。しかし、状態によっては歯を残せる可能性があります。旭川市の松本歯科クリニックでは、「破折歯接着再植」という治療法を通じて、抜歯を避けるための選択肢をご提案しています。

この記事では、歯根破折の基礎知識から、当院が行う2種類の治療法・費用・リスクまでを詳しく解説します。まずは一度、ご相談ください。

こんなお悩み、ありませんか?

  • 「抜歯するしかない」と言われたが、ほかに方法がないか知りたい
  • 歯根が割れた・ひびが入ったと診断され、どう対処すればよいかわからない
  • 破折歯接着再植という治療が自分に適応するか確認したい

破折歯接着再植はすべての症例に適応できるわけではありませんが、詳しい診査・診断のうえで可能性をご説明します。セカンドオピニオンとしてのご相談も歓迎です。

歯根破折とは何か〜見逃しやすい歯のトラブル

歯根破折とは、歯の根の部分にヒビが入ったり、割れたりした状態のことです。

神経を抜いた歯は、栄養を失って枯れ木のような状態になります。そのため、健康な歯に比べて割れやすくなります。さらに、金属の土台(メタルコア)が入っている場合、噛む力が特定の部分に集中しやすく、歯根破折が起きやすくなります。

歯根破折の原因は、主に以下のようなものが挙げられます。

  • 根管治療後の歯の強度低下
  • 金属製の土台(メタルコア)による応力集中
  • 強い歯ぎしり・食いしばり
  • ブリッジや入れ歯の支えとなる歯への過負荷
  • 転倒などの外傷

症状が出にくいことも、この疾患の厄介な点です。

神経のない歯が割れた場合、破折部から細菌が侵入し、歯茎が腫れたり膿が出たりします。噛んだときの違和感、差し歯が何度も取れる、根管治療が長引くといった症状が続く場合は、歯根破折が疑われます。

歯を失う原因として、歯周病・むし歯に次いで歯根破折が多いとされています。メンテナンスが進んだ現代では、歯根破折が抜歯原因のトップになりつつあるとも言われています。

こんなお悩みはありませんか?〜破折歯のサイン

気づかないうちに進行しているかもしれません。

以下のような症状が続いている場合、歯根破折の可能性があります。放置すると骨吸収が進み、治療の選択肢が狭まることがあります。早めの受診をお勧めします。

  • 歯がグラグラしている
  • 歯茎が腫れている、または膿が出ている
  • 根管治療(根の治療)が長引いている
  • 差し歯が何度も取れてしまう
  • 他院で「抜歯するしかない」と言われた

これらの症状は、歯根破折が原因である場合があります。

ある患者さんは、「差し歯が3回取れて、ようやく歯根破折と診断された」とおっしゃっていました。長い間、原因がわからず不安な日々を過ごされていたそうです。早期発見・早期対応が、歯を残す可能性を高めます。

破折歯接着再植とは〜歯を残すための治療法

「破折歯接着再植」は、割れた歯を専用の接着材で修復し、可能な限り歯を残す治療法です。

通常、歯根破折した歯は抜歯が一般的とされてきました。しかし、近年の接着材料の進歩やグラスファイバー製の支柱(ファイバーコア)の登場により、状態によっては歯を残せる可能性が出てきました。

当院では、スーパーボンド(SB)と呼ばれるMMA系歯科接着用レジンセメントを使用します。

スーパーボンドは、歯を構成する象牙質への接着が可能な特殊な接着材です。破折部をしっかりと密閉し、細菌の再侵入を防ぐ役割を果たします。その後、ファイバーコア(i-TFCシステム)と呼ばれるグラスファイバー製の支柱を立てて、歯の強度を補強します。

グラスファイバー製の支柱は、金属と異なり象牙質に近い弾性を持っています。そのため、噛む力が特定の部分に集中しにくく、歯根破折の再発リスクを軽減できます。

ただし、すべての破折歯が保存できるわけではありません。破折の程度・部位・方向・経過時間などが複雑に影響します。治療の選択と正確な診断が非常に重要です。

破折歯の分類(M-Ⅰ型〜M-Ⅴ型)

当院では、破折歯を以下の5つの型に分類して診断しています。

  • M-Ⅰ型…歯槽骨欠損の軽い急性破折。前歯の衝撃加圧による破折。
  • M-Ⅱ型…骨質に厚みのある3壁性骨欠損。小臼歯・大臼歯の破折初期症例に多い。
  • M-Ⅲ型…骨質が薄い唇頬側部に多い2壁性骨欠損。長期放置例に見られる。
  • M-Ⅳ型…歯根周囲および暈型の骨吸収。
  • M-Ⅴ型…破折か分離した歯槽骨破壊が大きい症例。

型が進むほど、歯を残すことが難しくなります。早期発見・早期治療が鍵です。

2種類の治療法〜口腔内接着直接法と口腔外接着再植法

当院では、破折の状態に応じて2つの術式を使い分けています。

口腔内接着直接法〜患者さんの負担が少ない術式

歯の周りの組織炎症が少ない場合に適用します。

口の中で直接、破折した歯にスーパーボンドを流し込んで接着します。その後、ファイバーコア(i-TFCシステム)を築盛して土台を作ります。ほとんどのケースで当日に仮歯まで装着できます。患者さんの負担が少ないため、当院では可能な限りこの術式を選択しています。

治療の流れは以下のとおりです。

  • 丁寧に観察し、ヒビの状態を診断する
  • ヒビの部分を小さな超音波器具で削り取る
  • 削った部分に強力な接着剤を流し込み、修復完了

ただし、条件が悪かった場合は、術後に破折汚染部に起因した歯周炎を発症することがあります。その場合は、歯茎を切り開く「歯肉剥離掻爬術」、または「再植法」へ移行します。

口腔外接着再植法〜放置された破折歯への対応

破折部が開き、分離している場合に適用します。

割れた歯が長く放置された場合など、そのままでは口の中で修復できない状態になっています。この場合は、一度歯を抜いて口の外で接着処置を行い、再び元の場所に戻す「再植」が必要です。縫合を行うため、後日抜糸が必要になります。

治療の流れは以下のとおりです。

  • 歯の割れを確認する
  • 割れた歯を抜く
  • 口の外で割れた歯をしっかりと接着する
  • 元の場所に戻して固定する

状況によっては、当日に仮歯を装着できない場合もあります。また、歯を残すことが不可能と判断した場合は、そのまま抜歯となることもあります。

治療費・治療期間・保証について〜費用の透明な開示

費用と期間を事前に把握することが、安心した治療への第一歩です。

費用の内訳

  • 破折歯修復・再植:132,000円(税込)
  • 上部構造(かぶせ物):別途費用がかかります

症例例として、破折歯修復・再植(132,000円)+上部構造ジルコニアクラウン(110,000円)の合計で治療を行ったケースがあります。治療期間は6か月程度です。

保険適用について

再植費用は自費診療となります。また、再植を行った歯は保険診療の対象外となるため、クラウン等のかぶせ物については関係する歯すべてが保険対象外となります。

5年保証と充当制度

再植を行った歯が機能する目標は5年です。

5年以内に抜歯に至った場合は、インプラント等の自費治療への代金充当を行います。ただし、返金や保険治療への充当はいたしかねます。また、当院で行った破折歯について他院にて抜歯等の治療を受けた場合は、治療を放棄したとみなし、保証の対象外となります。

「自分の歯に適応できるか確かめたい」という相談だけでもOKです。
診査のうえで適応の有無や治療の流れをわかりやすくご説明します。


相談だけでもOK・セカンドオピニオン歓迎
 

リスクと注意点〜正直にお伝えします

治療のリスクを正直にお伝えすることが、信頼の出発点だと考えています。

破折歯接着再植には、以下のリスクと注意点があります。

  • 歯が折れるほど強い力が常時かかっているため、治療後に再び折れるリスクがある
  • 治療終了後も再び炎症が起こる可能性があり、追加処置が必要になる場合がある
  • 手術の途中で歯を残すことが厳しいと判断した場合、やむを得ず抜歯となる場合がある
  • 再植した歯が安定し、咬合に耐えられるようになるまで3か月ほどの安静期間が必要
  • 隣の歯との連結や保定装置(リテーナー)の使用が必要になる
  • 手術後の経過を良好に保つため、6か月ごとのメンテナンスが必要

対応が難しいケース

以下のような場合は、歯を残すことが難しいと判断することがあります。

  • 歯の割れ方が複雑で、接着修復が不可能な場合
  • 破折による炎症組織・骨吸収が予想以上に進行していた場合
  • レントゲンから読み取ることが不可能な病変が存在していた場合
  • ブリッジの土台となる歯(1本で2本分の力を担う必要がある)
  • 最高峰臼歯(難度が高い)
  • 複根管で根が広がっていない場合
  • 根が短すぎる場合

診断の結果、保存が難しいと判断した場合は、ブリッジやインプラントなど他の治療法をご提案します。

歯根膜の重要性〜再植の成否を左右する組織

「歯根膜」という言葉を聞いたことがありますか?

歯根膜とは、歯の根の部分を包んでいる薄い膜のことです。歯と歯槽骨の間にあり、クッションのような役割を果たしています。また、歯周組織の再生にも深く関係しています。再植の成功を左右する大きな要因の一つが、この歯根膜の状態です。

歯根膜が健全な状態で再植できれば、植えられた歯は歯根膜の作用によって周囲に骨が形成され、徐々に機能を再生していきます。逆に、歯根膜が大きく損傷している場合は、再生が難しくなります。

そのため、破折歯の放置は禁物です。

時間が経つほど歯根膜が傷み、再植の成功率が下がる可能性があります。「まだ大丈夫かな」と思っていても、気づいたときには手遅れになっていることがあります。気になる症状があれば、早めにご相談ください。

まとめ〜歯根破折でも諦めないでください

「抜歯しかない」は、必ずしも唯一の答えではありません。

歯根破折と診断されても、状態によっては「破折歯接着再植」によって歯を残せる可能性があります。当院では、患者さんの負担が少ない「口腔内接着直接法」を優先しながら、状態に応じて「口腔外接着再植法」も選択しています。

大切なのは、早期発見・早期相談です。

遠方からも多くの患者さんがご来院されています。「近くの歯科では対応できないと言われた」という方も、ぜひ一度ご相談ください。すべてのケースで歯を残せる保証はできませんが、可能性がある限り、最善の治療をご提案します。

治療費・治療期間・リスクについても、診察時に丁寧にご説明します。まずはお気軽にご連絡ください。

松本歯科クリニック 診療情報

  • 院長:松本 弘幸(日本口腔インプラント学会専門医)
  • 所在地:北海道旭川市
  • 治療費(破折歯修復・再植):132,000円(税込)※上部構造は別途
  • 治療期間:6か月程度
  • メンテナンス:6か月ごとに必要
  • 詳細・ご予約:公式サイトよりご確認ください

「抜歯と言われた歯」について、まず詳しく診てもらいませんか?

破折歯接着再植の適応可否は、詳しい検査と診断が必要です。初診では現状の確認と治療の選択肢をご説明します。初診の所要時間は目安として60〜90分程度です。
📋 お持ちもの:保険証(お持ちの方)/他院での診断書・レントゲンがあればご持参ください。


破折歯の相談を予約する(旭川市)

📞 0120-437-814
月〜金 9:00〜12:30 / 14:00〜18:00 土 9:00〜13:00 日曜定休

著者情報

松本 弘幸(まつもと ひろゆき)

画像

平成4年3月
北海道医療大学歯学部卒業
平成8年3月
北海道医療大学歯学研究科博士課程修了
平成8年6月
北海道医療大学歯学部助手
平成11年6月
松本歯科クリニック 開院

所属
日本口腔インプラント学会(JSOI)専門医
近未来オステオインプラント学会(IPOI)専門医
日本歯科医師会(JDA)会員
北日本インプラント研究会(NIS)会員
旭川インプラント研究会(AIS)会員
日本訪問歯科協会認定医
血液型:​A Rh+型
趣味:ピアノ、合唱、マラソン