2025年8月22日(金) SPTって何?歯周病治療後の定期検診との違いと重要性

長い歯周病の治療が一段落し、歯科医師や歯科衛生士から「お疲れ様でした。これからはSPTに移行しますね」と言われた経験はありませんか?

多くの方が、「SPTって何のこと?」「治療が終わったのに、まだ歯医者に通うの?」「これまでの定期検診メンテナンスとは何が違うの?」と、疑問に思われるかもしれません。

SPTは、苦労して治療した歯周病を二度と再発させないために、そして生涯にわたってご自身の歯を守るために、非常に重要な治療プログラムです。この記事では、歯周病治療後の鍵となる「SPT(歯周病安定期治療)」について、その目的や内容、重要性を詳しく解説していきます。

目次

  1. SPTとは? Supportive Periodontal Therapyの略称
  2. 【最重要】SPTと通常のメンテナンス(定期検診)の決定的違い
  3. SPTでは具体的に何をするの?治療の流れを解説
  4. なぜSPTは必要なのか?歯周病の「再発」を防ぐために
  5. SPTの主役は「歯科衛生士」:あなたの健康を守るパートナー
  6. SPTの通院間隔と費用について
  7. まとめ:SPTはあなたの歯の未来を守るための大切な治療です
  1. SPTとは? Supportive Periodontal Therapyの略称

SPTとは、「Supportive Periodontal Therapy」の略称で、日本語では「歯周病安定期治療」と訳されます。

これは、歯周病の初期治療(歯石除去や歯周外科治療など)によって、一度症状が安定した「治癒」の状態になったお口の環境を、**長期的に維持し、再発を防止するために行う、専門的かつ継続的な治療(セラピー)**のことを指します。

歯周病は、高血圧や糖尿病と同じように「慢性疾患」の一つです。一度治療で症状が落ち着いても、原因となる歯周病菌が口の中から完全にいなくなるわけではありません。日々のケアを怠ったり、定期的なプロのケアを中断したりすると、容易に再発してしまう非常に厄介な病気なのです。

そのため、治療完了後も、SPTによってお口の状態を継続的に管理していくことが不可欠となります。

  1. 【最重要】SPTと通常のメンテナンス(定期検診)の決定的違い

「SPTも定期的なお口のクリーニングでしょ?」と思われがちですが、目的も内容も、健康な方の受ける「メンテナンス(定期検診)」とは明確に異なります。

比較項目 SPT(歯周病安定期治療) 通常のメンテナンス(定期検診)
対象者 歯周病の治療を終え、症状が安定した方 歯が健康な方、または軽度の歯肉炎がある方
目的 病状の安定維持再発防止(治療の一環) 健康な状態の維持虫歯・歯周病の予防
診査内容 歯周ポケット測定、出血・排膿の有無など、歯周組織の精密な検査を毎回実施 虫歯のチェックや簡単な歯茎のチェックが中心
処置内容 歯周ポケット内部など、リスク部位の専門的なプラーク・歯石除去が中心 歯の表面のプラーク・歯石除去が中心
保険適用 保険適用の「治療」行為 保険適用の「予防」処置(または自費)

 

一番の違いは、SPTが**「治療行為」**であるという点です。歯周病は一度かかると、骨が溶けるなど失われた組織は完全には元に戻りません。いわば「完治」ではなく「寛解(症状が安定している状態)」を目指します。SPTは、この寛解状態を維持し、再び悪化させないための積極的な医療介入なのです。

  1. SPTでは具体的に何をするの?治療の流れを解説

SPTの来院時には、以下のような流れで専門的な検査と処置を行います。

  1. 歯周組織の検査 まず、歯周ポケットの深さの測定、歯茎からの出血や膿の有無、歯の動揺度(ぐらつき)などを詳細にチェックします。前回のデータと比較し、病状が安定しているか、悪化の兆候はないかを確認します。
  2. プラークの染め出しとセルフケア指導 必要に応じて、磨き残しを赤く染め出す液を使い、プラークがどこに溜まりやすいかを患者様ご自身の目で確認していただきます。その上で、歯科衛生士がより効果的な歯磨きの方法や、歯間ブラシ・フロスの使い方を指導します。
  3. 専門的な機械によるクリーニング(PMTC) 超音波スケーラーや専用の器具を使い、ご自身の歯磨きでは絶対に除去できない歯周ポケットの奥深くのプラーク(バイオフィルム)や歯石を徹底的に除去します。
  4. 歯科医師による診査 最後に歯科医師がお口全体をチェックし、検査結果と合わせて総合的な診断を下します。

この一連の流れを、患者様のリスクに応じて設定された間隔で繰り返していきます。

  1. なぜSPTは必要なのか?歯周病の「再発」を防ぐために

歯周病治療を終えたにもかかわらず、なぜSPTを継続する必要があるのでしょうか。それは、歯周病菌が非常にしぶとく、再発しやすいからです。

  • 歯周病菌はゼロにはならない: お口の中の細菌を完全に取り除くことは不可能です。SPTを中断すると、残存した歯周病菌が再び増殖し始め、数ヶ月で元の危険な状態に戻ってしまうと言われています。
  • 「サイレント・ディジーズ(静かなる病気)」: 歯周病は、初期〜中期段階では自覚症状がほとんどありません。痛みや腫れなどの症状が出た時には、すでにかなり進行しているケースがほとんどです。再発のサインを自分で気づくのは困難なため、プロによる定期的なチェックが不可欠なのです。
  • 歯を守るための最も確実な方法: 研究によって、定期的なSPTを継続した患者さんは、そうでない患者さんに比べて、将来的に歯を失う本数が圧倒的に少ないことが証明されています。

苦労して行った治療を無駄にしないため、そして何より、大切なご自身の歯を1本でも多く守るために、SPTは絶対に欠かすことのできないプロセスなのです。

  1. SPTの主役は「歯科衛生士」:あなたの健康を守るパートナー

SPTを成功に導く上で、中心的な役割を果たすのが歯科衛生士です。

歯科衛生士は、歯周病に関する深い知識と高度な技術を持つ専門家です。毎回同じ歯科衛生士が担当することで、あなたのお口の小さな変化にも気づくことができ、より的確なケアを提供することが可能になります。

単にクリーニングを行うだけでなく、日々のセルフケアの悩みを聞いたり、モチベーションを維持するためのアドバイスをしたりと、長期にわたってあなたの口腔健康管理をサポートする、最も身近なパートナーとなります。

  1. SPTの通院間隔と費用について

SPTの通院間隔は、患者様のお口の中のリスク(歯周ポケットの深さ、喫煙の有無、全身疾患など)に応じて、1ヶ月〜4ヶ月の間で個別に設定されます。

費用については、SPTは保険適用の「治療」となります。3割負担の方で、1回あたり3,000円〜4,000円程度が目安となります(レントゲン撮影など、その他の処置が加わる場合は変動します)。

  1. まとめ:SPTはあなたの歯の未来を守るための大切な治療です

今回は、歯周病治療後の「SPT(歯周病安定期治療)」について解説しました。

SPTは、単なるメンテナンス定期検診とは異なり、歯周病の再発を防ぎ、長期的にあなたのお口の健康を維持するための、**れっきとした「治療」**です。治療によって取り戻した安定した状態は、SPTを継続して初めて守ることができます。

治療が終わったからと安心せず、ご自身の歯の未来への投資と捉え、ぜひ前向きにSPTを継続してください。私たち歯医者歯科衛生士は、あなたの生涯にわたるお口の健康を、全力でサポートさせていただきます。

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出典

  • 特定非営利活動法人 日本歯周病学会. (n.d.). 歯周病の治療
  • 厚生労働省 e-ヘルスネット. (2021). 歯周病のメインテナンス(定期的な管理).
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